究極のお一人様〜ソロウェディングはお断り〜
「前の彼氏と行くつもりだったんですね。わかりました。協力します。やるからにはベストカップル目指しましょう」


「えっ?怒ってないの?」


「怒ってないわけではないです。だから・・・」


真剣な顔が近づいてくる。これはお決まりの目を瞑るが正解ということ?とりあえず、恐る恐る目を瞑る。


でも降ってきたのは甘いキスなんかではなくて、痛い痛いデコピンだった。



「いったー」



「キスじゃお仕置きにならないでしょ?だって望んでたんだもんね、雅ちゃん」



「そ、そんなわけないでしょ」



「でも、それを待ってて目を瞑ったんだよね?」



「な、なんでワンコに戻るのよ。この間はたらふくお酒飲ませて変わらなかったくせに」



「お酒で変わるわけないでしょ。自分の性格なんで好きに変えられます。まああの時はあなたが必死すぎてわざと変えなかったのもありますけど」



「あんた、本当にいい性格してるわ」



「ありがとう、雅ちゃん。あっ、また赤くなった。やっぱりまだこっちの方が優勢なんだね。じゃあ・・・」



また顔つきが変わった。無表情でもワンコでもない。真剣で少し色っぽい表情。


こんな表情もするのねなんてぼんやりと思っていたら両手で頬を包み込まれた。


「あなたには、もっと男らしい俺を意識してもらいたいんだ」


「・・・何よ、それ。ズルい」



三度目のキスは、ムカつくくらいに慣れた男のキスだった。
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