ノーカウント
「別に、後藤さんとは話も合うし
何も考えないで、食事のお誘いを受けたわけじゃない。
ちゃんと前向きに考えているくらいよ。」
なんとなく気づいていた、後藤さんからの好意。
新田君に惚れていながらも、これは実ることが不可能に近い片思い。
同級生もどんどん結婚していくし、次に進まなければいけないのは分かっている。
「は?先輩。あの人のこと好きなんですか?」
「好きっては言ってないじゃない。」
「好きじゃないなら、断って下さい。」
なぜ、彼がここまで不機嫌になっているのかよく分からない。
子供みたいなこと、いつもなら絶対言わない。
「話は仕事終わってから、俺の家寄ってってください。
そこで聞きます。」