ノーカウント


それでも
何を伝えたいのか。


そんなのは全く分からない。


「それなのに先輩は 何事もなかったように接しようとするし、昔の話を忘れろ。なんて言うし。

俺の知っている奈美さんのイメージとかなり変わってて

年下だからって馬鹿にされるかもって少し、背伸びしてました。」


かなり意地悪なイタズラか。

もしくはなんかのドッキリか。


そんなひねくれた考えしか浮かばない。


「俺がどんだけ背伸びしても

奈美さんは本当に昔と変わってて。
戸惑いながらも、大人になった奈美さんにまた惹かれて。

奈美さんなら俺。照れ屋で初々しい先輩でも、
クールでサバサバしてる先輩でも

好きになってしまうんです、きっと。」


そして、今までしたことのないくらい

浅くて触れるだけの口づけをした。


なぜだか分からないけど。


涙が溢れてきてしまった。


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