忘れな草の願い
「俺と付き合って欲しい」
そう言った時に
「世奈でよければ……」
そう答えた世奈の
恥ずかしそうな顔を
今でも俺は覚えている。
その日の帰り道。
和希と莉子ちゃんが後ろから
尾行してたのはバレバレで、
いつもの俺だったなら、
「和希!邪魔だ!」
なんて不機嫌になったの
かもしれないけれど、
そんな事この時の俺には
どうでも良かった。
「……ん。」
「へ?」
「……手、繋がねえの?」
意外にも照れ屋な俺には
それが精一杯で。
そんな俺の手を顔を真っ赤に
しながら握りしめた
世奈の手が温かくて、幸せで。
絶対大切にしよう。
俺が幸せにする。
ずっと離さない。
心からそう思ったんだ。
なのに……
世奈、ごめんな。