貴方は友達?
「でさ、私が待ってた理由なんだけど。」

玲はこちらを向き、少し声を潜めて呟いた。

「あの四人にいじめられてた、とか、ない?」

「え!?」

いきなり突拍子もないこと言い出すから目を見開いてしまった。

「う、うーん…少し度を越したイタズラはあったりしたけど、それは私だけじゃなくて皆にもやってたし……いじめられてたとかはない、と思いたいけど。」

「そっか。」

ふーん、と玲は頭の中の一項目に斜線をひいたようだった。

「なんでいきなりそんな動画送られてくるのかなー?私がみる限りでも瀧達は仲良しに見えたけど」

「仲良し、か……」

戻れるのかな、とか頭のなかには嫌な想像しか浮かばなくて、話し合わないままじゃ不安だけ募っていく。

「やっぱ皆と話そうかな。ちゃんと。」

私が呟くと、すぐに

「やめときなよ」

玲が冷たい声で切り捨てた。
少し驚いた私が玲の方を向くと

「今は、やめときなよ。皆の心が落ち着いてからの方がいいんじゃない?」

こちらに微笑んだその顔は嫌味なんかない、ただ冷静に考えた上でのひとつの意見だ、とひしひしと伝わってきた。

「……そっか、そうだよね。冷静に落ち着いて行こう」

「それが一番だと思うよ。」

玲は優しい声でそう言って、話題の違う話を始めた。
玲は話すのがとても上手で、面白い話をより面白く伝えてくれる。
玲の話に笑っていたら、暗い気持ちはいつのまにか消えていた。
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