運命の恋、なんて。
あたしは足を上げ、現状をさらす。



惨状に気づいたピアスくんが、苦笑した。



「あ~、やっちゃったな」



「ドジですよね…こんなの踏むなんてツイてない」



顔を覆い、再度落ち込む。



「ま、そんなこともないんじゃね?」



ピアスくんが、あたしの足下にしゃがみこむ。



「実はさ。俺、カラオケ行くのヤなんだよねー」



「…えっ?」



「だから、わざと遅れて行く理由ができて助かった」



そう言いながら、あたしの靴を掴む。



「ひゃっ、やっ、ちょっと待って下さい!!靴、汚いから」



カラオケに行きたくない理由はともかく、あたしの足を掴む意味がわからない。



< 16 / 827 >

この作品をシェア

pagetop