運命の恋、なんて。
どうして、あたしの気持ちを察してくれたの?



「まだなにも言ってないよ…」



「そんぐらい、わかるって。俺、恋愛のスペシャリストだし。あ、それ黒田先輩の受け売りね。冗談だから」



ひとりでツッコミ入れるあたり、あたしに気を遣ってる?



「八雲くんがおしゃべりになるときって…焦ってるときだよね」



「うっ、痛いとこつくなー。実はさ、もう授業始まってて」



「ええっ、そうなの!?大変」



進学校だもんね、うちの学校の時間と同じように考えたのが間違いだった。



「これ逃したら、いつ胡桃ちゃんと電話できるかわかんねーし。腹痛いって、抜け出してきた」



「ごめーん…それなら、後でよかったのに」



「いいって。なんか、心配ごと?昨日のこと、やっぱなかったことに、なんて言うなよー」



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