運命の恋、なんて。
なんて、単純な女なんだ、あたしって…。



ノンちゃんが歌ったあと、ほかの子がマイクを持つ。



あたしの番がまわってくるまで、待機。



それにしても。



八雲くんは、あたしを挟んでニット帽の男の子と話しているから、時折体がくっつく。



クスクスと笑う声や、柔らかな表情に、あたしは翻弄されっぱなし。



「場所、交代しますよ」



「えー、男の隣ヤダ」



な、なんで!?



あっさり拒否されてしまった。



ていうか、この体勢を続けたら…あたしの心臓がもたない。



きゃー、もう勘弁して!って思ったころ、歌う順番がまわってきた。



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