運命の恋、なんて。
「ごめん…」




『もういいよ。碓井くんと、話し合ってみるから。元カノがどんな子なのか八雲くんから聞いてる?』




「ううん…知らない」




もう、下手に言えない。




話しても、あたしの意見は聞きたくないだろうし。




元カノの情報だけを、ノンちゃんは聞きたいだけなんだ。




『そっか。元カノのこと、今日中に八雲くんに聞いておいてね。また明日学校で教えて、じゃあね』




電話を切ったあと、虚しさだけが残る。




あんな言い方しておいて、元カノのこと聞いておいてって…あたしの気持ちなんてお構いなしだ。




あたしは便利屋じゃない。




ノンちゃんのことを傷つけたかもしれないけど、あたしを傷つけたことなんて…微塵も感じてないんだろうな…。




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