運命の恋、なんて。
家に着くと、ちょうど出かける寸前のお母さんと鉢合わせした。




「あら、早かったじゃない~。夕ご飯、お惣菜にしたから」




「ありがと」




「今から友達とご飯行ってくるわ~、久しぶりのお寿司!楽しみ」




すごく嬉しそう。




「行ってらっしゃ~い」




「胡桃と塾が同じ、高瀬さんのお母さんも一緒よ。高瀬さんのお母さん、教育ママなんだって。勉強できる子なの?」




高瀬…そういえば、塾のクラスにそんな子がいたかもしれない。




学校のクラスも違えば、一度も話したこともなく、顔もよく覚えてない。




「そうなんだ、よく知らない」




「絶対に負けちゃダメよ。胡桃もしっかり勉強しないと」




負けるって…どういうことなのかな。




熟のテストで高瀬さんよりいい点を取れと?




なんの競争心なんだろう。




お母さんのそれは、たまに不可解。




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