運命の恋、なんて。
シャワーの音が聞こえる中、ひとり悶々と考える。



ずっと…寝ないで朝まで電話があるのを待ってたらどうしよう。



ううん、向こうからかかってくる?



いつもなら、かかってきそうなのに今日に限ってかかってこなかった。



罪悪感に苛まれ…やっぱり電話をかけることにした。



「お母さん…泊まりのことなんだけど…」



「ダメ、絶対にダメ」



あぁ…気が変わってるなんて、ありえなかった。



やっぱり、そうだよね。



「お願いします…今日だけだから。もう、今後一切外泊したいなんて言わない」



「帰って来なさい…タクシーに乗るのよ、こんな時間に自転車は危ないから」



「そんなお金持ってないよ」



「家に着いたら連絡して。払いに出るから」



ここから乗ったらいくらかかる!?



想像もできないよ。



「もう1時だし、泊まった方が良くない?ホントに大丈夫だから」



「何度言わせるの?よそのうちがどうかは知らないけど、うちはダメ」



「どうして…わかってくれないの?」



「胡桃こそ、どうしてわからないの?あなたのためなの」



あたしのため?



全然わからないよ…。



< 537 / 827 >

この作品をシェア

pagetop