運命の恋、なんて。
着替えをすませ、家を出た。



コンビニは開いているものの、普段は人通りの多い道も、深夜はシンと静まり返っている。



タクシーに乗って帰るにしても、やっぱりひとりは心細い。


送ってもらったあと、八雲くんはあたしが家に入るのを見届けると家に帰って行ったようだった。



家に入ると、リビングの電気がついていた。



そこには…お酒を片手に、憔悴しきったお母さんの姿が見えた。



「お帰り…お風呂、入ってきなさい」



怒らないの?



あんなに、反抗したのに。



いつも通りとはいかないにしても、お風呂の話題になるとは思わなかった。



テーブルの上には、あたしの夕食が用意されていた。



ラップのかかったお皿…夕方から、このままってことだよね。



「ご飯…いらないなら、言えばよかった。ごめんなさい…。それと、遅くなって…ごめんなさい…」



「お母さんね…イジワルで言ってるわけじゃないの。女の子は、なにがあるかわからないから…心配だから、言ってるの」



「そんな、考え過ぎだよ」



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