運命の恋、なんて。
疑惑
外泊事件から数か月が過ぎた。



ノンちゃんと碓井くんは、相変わらず付き合っている。



ホントのところはわからないけど、まだ元カノとヨリは戻ってないみたいだ。



そしてあたしはといえば、あの日以降…八雲くんの家に行き辛くなってしまった。




ウソをついてまで、家に遊びに行くことはできない。




真面目すぎると言われれば、それまでなんだけど。




もしなにかの拍子でバレたときが怖いって思うからね…。




てことで、ヤスくんの家の近くのゲーセンでいつも遊んでる。




ヤスくんの家にも行くけど、これはゲーセンの延長ってことでお母さんには言ってない。




秘密が増える度、いけないことをしている気分だけど…あたしはお母さんの言いなりじゃないという優越感もある。




今日も、学校帰りにいつものゲーセンで遊んでいた。




「あたしそろそろ帰るね、塾があるから」




「そか。塾が終わるころ、迎えに行こうか?」




「いいの?」




「もちろん。また会いたいし」




たまに、こうして迎えに来てくれる。




あたしたちの付き合いは、相変わらず順調だ。




「お前ら見せつけんな」




ヤスくんが呆れた顔でこっちを見ている。



< 543 / 827 >

この作品をシェア

pagetop