運命の恋、なんて。
「胡桃ちゃん、おはよー」



家の前で大きく手を振っている八雲くんの姿が、目に入ってきた。



近くまで行き、側に自転車を停めると、満面の笑みであたしに抱き着いてくる。



「わっ、危ないよ」



「あ~、この感じ胡桃ちゃんだ。安心する…」



ギューッと抱きしめられた。



あたしも、安心する…。



最近は話していても、心と心が離れてる感じがしていたから。



「昨日は…せっかく来てくれたのに、ごめん」



「ううん…」



「それと…写真の子のことも、黙っててごめん。あの写真は捨てたから」



捨てたの!?



「そこまでしなくてもよかったのに…」



「え、そう?」



「うん。相手の子は写真を楽しみにしてないの?」



なにもないなら、渡せばそれで終わりだよね。



「んー。デートじゃないし、別にいらないんじゃね?」



ホッ…。



そうだよね、別に…必要ないよね。



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