運命の恋、なんて。
「そろそろ…帰る?」



辺りは薄暗く肌寒くなってきた。



「うん。今日はありがと…進路や家のことでちょっと悩んでて、モヤモヤしてたけど一緒にいたし、たくさん遊んだからスッキリした」



八雲くんのことも悩みのひとつだったけど、こうして会ってると愛情を感じるし、なにを悩んでたんだろうって改めて思う。



「胡桃ちゃんは、なんかなりたいもんある?」



「それがなくって…親には、英語の道に進めって言われるけど、特に好きではないんだよね」



「そか。自分がやりたいことやれば、いんじゃね?」



「そうだよね…」



やりたいことか…。



それがないって悲しい。



今まで、テストで良い点を取ることだけを目標に、ただがむしゃらに勉強してきただけ。



それって、なんか違うよね…。



「好きなことを仕事にするって、なかなか難しいけど…そうできるようにしたいから、目標に向かって頑張ってる。

胡桃ちゃんも、やりたいことが見つかるといいな」



「うん」



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