運命の恋、なんて。
「うちにも娘がいましてね。お嬢さんぐらいですよ、もう独立して家にはいませんがね」





「そうなんですか~…」




酔いが、完全に醒めそう。




苦笑いをしているであろう自分の両頬を手で押し上げる。




「通勤がスーツだと窮屈でしょう。女性はおしゃれしたいものだ。ウチの会社は女性は私服通勤だから自由なもんです。踵のないヒールなんかで通勤している姿を見ると、日本も終わりだなと思ってしまう」





今、ここが窮屈かも…。




おじさんの話が、少しずつ長くなってきた。




「ちょっと、いいスか」




後ろから、ずいっと誰かが割って入ってきた。




えっ…なに!?




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