運命の恋、なんて。
「胡桃!!何時だと思ってるの。ご近所に迷惑よ」




わっ…親に叱られる姿を、ヤスくんに見られるなんて。




お恥ずかしい…。




誰なの?




という鋭い視線を、お母さんがヤスくんに送っている。




や、やばい。




「友達なの、タクシー乗り場で偶然再会して…それで、家もここの近所で。ちょっと話しこんでただけ」




「こんなところで話さないで、中に入ってもらったら?」




「いえ、すぐ失礼します。夜分遅くに申し訳ありませんでした…」




ヤスくんがペコリと頭を下げると、お母さんはフフッと笑って家の中へ戻っていった。




最近わかったんだけど、お母さんって若いイケメン俳優が好きなんだよね。




ヤスくんも、その部類に入ったのかな。




あまりうるさく言うこともなく引き下がって、拍子抜けしちゃう。




「よかった~、帰れって怒鳴られたらどうしようかと思った」




「あたしもだよ~…って、ヤスくん…どうしてあたしだって気づいたの?」




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