運命の恋、なんて。
「ああっ、ヤスくんにこんなこと言っても仕方ないよね?だから恋愛に生きない道を見つけたの。仕事もやりがいあるし、女の子の友だちもたくさんいるから平気」




「そんな、まだアイツのこと…好きなわけ?」




どうしてだか泣きそうなのは、ヤスくんの方だ。




こんなに親身になって話を聞いてくれるタイプだった?




どうだっけ…。




八雲くんがいないときは、ふたりで話すこともあったよね。




そういえばヤスくんはいつも自然体で、口は悪いけど話しやすかったかも。




「そっ、そうじゃないよ。なんだか中途半端な終わり方だったから、どうしてだろうって思っちゃうのかも。考えないように、忘れる努力をしてきたの」




「うん…そっか。後から色々話聞いたんだけどさ。胡桃ちゃんにかなりひどいことしてたよな、あいつ…」




「そうなのかな…わかんないや…」




思いだしたくない…。




認めたら、あの頃の感情が戻ってきそうで怖い。




思いださないように、考えないように…ずっと、そうしてきたの。




色んなことで誤魔化して、蓋をしてきた。




「もう…その話、しないで?」




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