運命の恋、なんて。
「あのさ、突然で悪いんだけど」




「え?」





「タクシー代、明日返す。昼頃、ここにまた来ていい?」




「ああっ、そうだよね。友達の家に飲みに来たんだよね…うん、いいよ。って、タクシー代はもう別に…」




「胡桃ちゃんに、借り作んの嫌だ」




「そんなことないでしょー。お姉さん、今結構稼いでるから。昔のよしみで奢ってあげるよ」




「バカにすんなよ。俺だって働いてるっつーの。払うから、遠慮すんな」




「そうなの?だったら明日待ち合わせだね」




「おう。連絡先、教えて?」




「あ…うん…」




ちょっと、躊躇してしまう。




男の人に連絡先を教えるのは、最近、仕事以外ではないことだから。




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