運命の恋、なんて。
スマホを弄っていて、外にいるあたしには気付かない。



コンコンと運転席の窓をノックすると、慌てて外に出てきた。



「いつからいたの!?ごめんね、全然気付かなくて。声、かけてくれたらいいのに」



「いや、チャイム鳴らすのもなー…と。クレイジー母ちゃん出てきたら、説教されそーだし」



「クレイジーって。人の親掴まえて、失礼じゃない?」



「ああっ、そーだよな。今は、まともなんだ?」



「そんな簡単に人の性格変わるわけないでしょ?って、これ聞かれたらそれこそ説教だよ」



「だな」



ふたりで笑っていると、2階の窓が開く音がした。



昨日も玄関に張りついて聞かれてたんだった。




ヤスくんも、思わず2階の窓を見上げたあと、運転席のすぐ後ろにあるスライドドアを開いた。



「乗って」



「おじゃまします!」



お母さんにまた探りを入れられるのは、正直面倒くさい。



「ちょっとここ離れていい?胡桃ちゃんの母ちゃん苦手…」



「うん」



ヤスくんは車を発進させ、そのまま道なりに進んでいく。



「このまま、ドライブでもいい?」



「ええっ?困るよ、あたしスマホしか持ってきてない」



「ドライブだから、関係ねーじゃん」



まぁ、確かにそうなんだけど。



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