運命の恋、なんて。
「午後から、友達と遊ぶ約束してるから…すぐに帰れる距離で」



「どこまで行く気だよ!ちょっとそこまでのノリだけど」



「ああっ、そーなんだ!?遠くまで行くのかと思った」



ドライブなんて、いつぶりだろう。



デートのそれは経験したことがないから、家族とのドライブ以来で、もう15年ぶりってところかもしれない。



ドライブっていう響きだけで、勝手に遠出をイメージしてしまった。



「マジで予定あんの?俺のこと警戒して、ウソついてない?」



完全に、見抜かれてる…。



「どうしてわかったの?」



「こじらせてるからな」



「うるさいなー…」



確かにこじれてますけど、そんな言い方ってない。



「念のためにもっかい聞くけど、予定ないんだ?」



なんの確認?



「ないよ。休日はゆっくり過ごす派なの」



「ふーん。だから、新しい出会いもない、と」



「放っといて。やたら噛み付いてくるよね、ヤスくんって相変わらず」



「見た目変わっても、性格はそうそう変わりませんから?」



「うわー、ヤな男のままなんだ?」



「ひゃー、胡桃ちゃんは言うようになったな」



< 796 / 827 >

この作品をシェア

pagetop