運命の恋、なんて。
「ごめん…俺、空気読めねーな。これも問題アリなところ」



あたしの顔が曇ったからか、バックミラーで表情を確認したあと、ヤスくんが気まずそうに口を噤んだ。



傷を舐めあっても、意味がない。



だけど共感することで、気持ちが楽になることもあるよね。



「八雲くん…今、どうしてるの?」



自分から聞いておきながら、冷や汗がでた。



心拍数はあがり、呼吸が乱れる。



それでも…あたしはずっと、この問題に直面すべきだったのかも。



自ら断ち切った縁なのに、結局、完全に忘れることもできずに足掻いている。



ずっと目を背けてきた。



だけど、本当は知りたい。



八雲くんが、今どうしているのか。



彼女はいるの?



それは、あのときのピアスの女の子なの?



それとも…。



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