運命の恋、なんて。
ヤスくんってば、高速にのって遠出するから驚いた。



てっきり近場だと思ったのに。



すっかり遅くなってしまった…。



「やべー、もう21時。クレイジーママに怒られるよなぁ」



やっと高速の降り口にたどりついたころ、ヤスくんがボヤく。



「もうあたしも、社会人だよ?さすがに時間のことは言われない」



「そっか。もっかい店入る?まだまだ話し足りない」



「えーっ、そうなの?今日、いっぱい話したよね?」



「もう、嬉しくて。胡桃ちゃんと一緒だってことが。あ~、うちに連れて帰りたい」



「なっ、なに言ってるの?」



「ダメだよな?」



「本気で言ってる?」



いたって真剣で、思わず苦笑いしてしまう。



「本気。このまま帰したら、夢になるんじゃないかとか。そう思うと怖い」



「ええーっ、それはないよ」



「ひとり冷静になって、やっぱねーなとかなんない?」



なにを心配してるの?



「大丈夫だよ、今日すごく楽しかったし…また、会いたいって思うよ」



「マジで?よかった」



表情を緩め、くしゃっと笑う顔がなんともかわいらしい。



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