運命の恋、なんて。
「う、うん…あたしも、言おうかなって思ってたところ…」



はっ、恥ずかしい!



「マジか!やった!言ってよかった!!」



緊張、してたのかな。



ヤスくんの表情が、一気に緩んだ。



「よろしく…お願いします」



「うん。じゃ、また明日」



手を振って運転席に乗り込む。



「あ、待って。連絡先…聞いてない」



「そうだったな、胡桃ちゃんカード固いからな。やっと教えてもらえるよ」



やれやれといった表情で、スマホを出してくる。



「いいでしょ。連絡先、バラまきたくないもん」



「そのぐらいの方が、俺は嬉しいけどな」



運転席の窓越しで、連絡先を好感する。



昨日まで拒否してたのが、嘘みたいだ。



「今日は、ありがとう。楽しかった」




「俺も」



帰ろうとしてたけど、やっぱりなにか物足りない。



これは、なんなのか。



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