CURRENT



「何でもないわりには、泣きそうな顔しているけど?」


「気のせいですっ」



頬に触れそうだった彼の手を、思いっきり払い除けた。

そして、すぐに自分のデスクに戻った。

これ以上、噂に尾ひれがつくのはごめんだ。

彼の近くにも、もちろん島村の近くにもいたくはない。



「梨沙先輩、泣きそうな顔をしていますけど、大丈夫ですか?」


「……気のせいよ」



2人して同じことを言わないで欲しい。

そんなの気のせいに決まっているのに。

2人が付き合っているかもって話しに傷ついているとか……。

暇潰しの相手だと思いたくないとか……。


全てが気のせいだ。

だって、そんなのまるで……。



「もうっ、そんな意地張っていると、取られちゃいますよ」




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