CURRENT
「……意味分からない」
分かりたくもない。
菜月はおそらく気づいている。
だけど、認めたくはない。
もう全てが遅いし、今更なんだ。
「じゃあ、ひとまず休憩しましょう。……本当に泣きそうですから」
そう言った菜月は、私の返事を待たず室外へ連れ出す。
それから、どこへ行くのかと思えば、自動販売機前の休憩スペースだった。
珍しく、誰もいなかった。
「とりあえず、これ飲んで落ち着いて下さいね」
その言葉と同時に菜月が差し出したのは、そこで買った缶コーヒーだった。
「あ、お金……」
「いつも頑張っているんですから、それくらい奢ります。
素直になって下さいっていう願い付きで」
可愛くウインクして、さっさと戻ってしまった。