CURRENT



私は、1人残されてしまった。

どうしていいか分からない私は、とりあえずもらった缶コーヒーを開けて一口飲む。

早く戻って仕事をしなきゃいけないはずなのに、体は動かない。


みんな、何がしたいのか分からない。

私はただ、静かに過ごしたいだけなのに。

恋愛だって、社内でするつもりはない。

ましてや、元カレに高校の時振った相手なんて……本当にありえない。

ありえないのに……イヤ、もう全てが気のせいだ。

アイツが彼が私を好きとか、あの子と彼が付き合っているとか。

あ、最後のはどうでもいいことだ。


意地張っているつもりはない。

素直になれって、確かなモノは何もないのに素直になれもない。

もう、ほっといてほしい。



「梨沙っ」



1人で座っていた休憩スペースに、男の声がした。




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