CURRENT



「何で?いいじゃん。オレらも見せつけよーぜ」



そう言って顔を近づけてくる。

そういえば、次は唇にするとか言われたっけ。

瞬時にそれを思い出し、逃げるように島村の体を押す。



「……何で逃げるんだ?」



不機嫌そうに言うけど、逆に何でしないといけない?



「彼氏でもないヤツとやるなんて嫌だ。好きでもないヤツとなんて」


「何でそんなに恥ずかしがるかな?好きなくせに」


「好きじゃない。今も昔も」



そう言ったとたん、私の体がふわっと浮き上がる。

そして、立たされたかと思えば、後ろから抱き締められる。



「無理強いはよくないな」



低く通る声が、私の耳をかすめる。

そのとたん、私の心臓が高鳴る。




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