CURRENT



けど、私はいつまで抱きつかれたままなのだろう。

彼が話すたびに耳元をくすぐって、ドキドキしっぱなしなんだけど。



「何で、今まで何も言わなかったじゃないですか」


「大人になってまで、こんなことも言われないと分からないんですか?
それに僕、最初に言いました。仕事が出来ない人は必要ないと。
キミは、その部類に入るからほっといたんですが」


「なっ!ヒドくないですか!?」


「社会として普通のことですね。
ああ、でもあなたは役に立ちましたよ」


「え?」


「梨沙を手に入れるのに」



そう言って、私を抱き締める手に力を込める。



「ちょっ」


「ちょっと、離れろって言っているじゃないかっ」



私が文句を言う前に、島村が叫ぶ。




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