CURRENT
「矢島さん、コレ頼める?」
この人の耳にも噂は届いているだろう。
なのに、平然と話しかけてくる。
どんな強心臓を持っているんだ。
「課長、わざわざ矢島さんに言わなくても、あたしたちがやりますよー」
私と彼の間に入って、女の子が少し甘ったるい声で言う。
こんな時に真っ先に来そうなのが沖田陽子なのに、今日は大人しい。
昨日言われたことが効いているのか。
自席で静かに仕事をしているらしい。
だけど、これは正しいと思う。
この子たちも、大人しくしていればいいものを……。
「キミたちが出来ることじゃありませんね。
そもそも、キミたちに頼むのは時間の無駄です」
にっこり笑って突き放す。
今日もイケメンは絶好調らしい。