CURRENT
「でも、課長も課長で表に出してきましたね。
あの子たちは悔しくて、梨沙先輩から手を出したって言っていますけど、課長を見れば何が本当のことかすぐ分かりますよ」
それは、菜月の言う通りだった。
噂の中心にいることは分かっているはずなのに、私に話しかける回数は急に多くなった。
昨日の今日で、夕方になったとはいえ、多すぎる。
「だいたい、昨日のキスだって、見せつけるためにやったんでしょうし」
島村に見せつけたであろうことは、昨日の彼の言葉からも分かっていた。
だけど、結局は他の人にも見られていたらしい。
だから、菜月の言う通り見せつけたのだろう。
あんなに深くて甘いキスを……。
「梨沙先輩、何を思い出しているんですか?顔、赤くなっていますよ」
「えっ?あ、イヤ……何でもないです……」