CURRENT
「は?今から?もっと早く言って下さいっ」
「梨沙なら出来るだろ」
「イヤ、しますけど、もう定時ですって」
呆れながら返すけど、彼は書類を私のデスクに置いて笑顔で去った。
大きく息を吐き、仕方ないと諦めて持ってきた書類に取りかかろうとした。
その時に気づいた。
社内がざわついていることに。
何かあったかなぁと思いつつ、私には関係ないと仕事をする。
「梨沙先輩、やっぱり付き合ったんですか?」
急に隣からそんな声が聞こえる。
それも、真剣な声だ。
「は?だから、何言っているの?誰とも付き合ってないって」
そもそも、誰かと付き合えば菜月にはちゃんと報告すると思う。
たとえ、内部だろうが、外部だろうが。