CURRENT
【2】
いろんなことを考えても考えなくても、仕事は毎日ある。
だから、1日に1度以上、イヤ、他の誰よりも彼と話す機会はある。
そのたびに、好奇心の視線を感じる。
女の子たちは、睨みをきかせてるのが大半だけど。
別に、普通に会話するだけで、それ以上のことは何もないのに。
「中山課長、コレ承認お願いしたいのと……」
「梨沙」
書類を見ながら彼に話しかけると、途中で名前を呼ばれ言葉を切られた。
何だろうと顔を上げたとたん、彼の顔が目の前にあった。
「え……」
呟いたとたん、唇には生暖かい感触がした。
何が起きたのか現実を把握する前に、「きゃーっ」と外野から悲鳴が聞こえた。
それは女性だけではなく、男性の低い「わぁっ」という声も混じっている。
「2人で話す時に課長って言ったら、所構わず奪うって言ったよな?」