CURRENT



恥ずかしいのに、彼は離れる気配がない。

それどころか、後頭部を押さえているだけだった手が、いつの間にか腰に回っている。

完全に抱き締められながらキスされている。

これは、ちゃんとした恋人がするものだ。

私たちがするものじゃない。

だけど、離れてはくれないし、私も離れがたくなっている気がする……?


イヤ、そんなの気のせい。

このキスに乗せられているだけだ。


そんなことを思っていると、ようやく唇は離れた。

恥ずかしいことをしているはずなのに、意外にも頭は冷静だなと思った。

それでも、息は切れきれなんだけど。



「だからっ……人前で、何をっ、やっているんですかっ」



息も切れきれになりながらも、抗議をした。

頭は冷静だとしても、抗議をしない訳にはいかない。




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