CURRENT
にっこり笑ったかと思えば、冷たく鋭い目をして言い放った。
女に対して、本性を出し始めたな。
「課長、違いますって。あたしは何も言ってませんよ。先輩には、何も言えませんよ」
その目に気づいていないのか、彼女はなおも嘘を吐く。
正直、もうやめた方がいいと思う。
目どころか、表情自体が冷めたきてしまっている。
なのに、彼女は続けている。
「……その嘘って、いつまで続くんだ?」
凄く低い声で、無表情に彼は言う。
それで現状を把握したのか、体をビクッと震わせてじっと黙り込んだ。
凄く怖いのか、息までも止めてしまっている。
息ぐらいはしようよ。
「こんなところでそんな嘘ついて、なんの意味がある?
アンタの無意味にデカイ声は丸聞こえなんだけど」