CURRENT
「え……あ、イヤ、嘘なんて別に……」
「ついてねぇって言うのか?まぁ、別に興味なんかねぇけど」
さっきまでの勢いはどこへ行った?
唇は震えているし、声は小さくなっている。
完全に彼に押されてしまっている。
「アンタに彼氏がいるとかどうでもいいけど、俺は梨沙にしか興味はねぇから。
他の女なんていらない。高校の時から、欲しいのは梨沙だけ」
「えっ……?」
彼の言葉に驚いたのは、彼女だけではない。
他の誰よりも私が驚いたのだ。
「課長と矢島さんって、高校の時から知り合い?」
「そんな訳、ないよねー」
「そんなの信じたくないけど、課長が言ってるよ……?」
周りの戸惑いの声が聞こえる。
私ではなく、彼の言葉だからこそ、真実味があるようだ。