CURRENT
部長の言っている意味が全然分からない。
見るって、写真でも見せられるのか。
そう思っていると、ある会議室へ入っていく。
ここは、秘密の会議で使われる部屋で、普通の会議室より狭くて防音になっている。
「中山くん、お待たせ」
入ったとたん、部長は誰かに声をかける。
この社内に中山なんて人、いたっけ?
会議室に入ってドアを閉め、前を見る。
けど、部長の背中が邪魔でよく見えない。
私もそれなりに身長はあるけど、部長はそれ以上に長身だ。
だから、中山と呼ばれた人が誰なのか見ることが出来ない。
それでも、少しだけ見える髪は、明るい茶髪だ。
ちらりと見える耳には、ピアスが光っている。
久しぶりにこんな髪の人見たかもしれない。
学生でも、なかなかいないだろう。
男性なら尚更だ。
そう思っていると、急に部長が振り向く。