CURRENT
急に菜月が大きな声をして言った。
私もため息を吐く。
「そんなの、分かんねぇだろ」
「結婚しない限り、諦めません。あたしの魅力に気づいてないだけなので」
さっきの子と変わらず、強気な沖田陽子に呆れてしまう。
島村も島村で、何をやっているのだろう。
私のこと、本気じゃない割りにムキになりすぎだ。
だいたい、何でコソコソ隠れて聞いているんだ。
敵意むき出しで、バレバレだったけど。
「まだ、そんなこと言っているんですか?
無理ですって。課長が本気出してしまうので」
「は?……わぁっ」
菜月の言葉に首を傾げていると、急に後ろから引っ張るようにして抱き締められた。
「まだ、分かんねぇかな。そんなこと、言うだけ無駄なのに」