CURRENT
耳元でそんな声がする。
いつの間にか、彼も合流してしまったらしい。
「アンタこそ、自分の気持ち押し付けてんじゃねぇよ。梨沙は好きだって言ってねぇのに」
島村が彼の痛いとこをついてくる。
確かに私は、好きだとは言っていない。
アンタに対してと違って、嫌いとも言ってない気がするけど。
痛いとこをつかれたはずなのに、彼は笑っていた。
「確かにそうだな。……って訳で、平山さん、あとはよろしく」
「了解しました。ただ、無茶なことはしないで下さい」
「それは、梨沙次第だけどな。一応、分かった」
誰1人話しについていけなくて、2人だけが分かり合っていた。
そうかと思えば、抱き締められたまま、ぐいっと腰を引かれる。
「え?な、なに?は?」