CURRENT
「紹介するよ。
こちらが、新しくうちの部署の課長になる中山浩司くんだ」
少しだけ、違和感を覚えた名前。
どこかで聞いたことがあるような……。
そう思いつつ、ゆっくりと部長が避けたあとを見た。
思わず声が出そうになるのを、寸でのところで止めた。
「さすがに、矢島さんでもそういう反応するかー」
何かに納得したように、部長は1人呟く。
私は、その声もあまり届いていない。
「中山くん、こちらが話していた矢島梨沙さん。頼りになるから」
「先に逢えて良かったです。色々お世話になると思うので」
「仕事のことも部署内のことも、矢島さんに聞いておけば間違いないから」
「部長も頼りきっているんですね」
「まあね。
人を動かすのも上手いし。仕事は早いし」