CURRENT
*溢れた想い
【1】
一体私は、どうしてここにいるのだろう。
何も聞かなかった私が悪いのかもしれない。
黙ったまま、なぜかついてきてしまった私が悪いのかもしれない。
だけど、この状況は理解出来ない。
「座ったら?」
どうしていいか分からない私は、部屋の入口に突っ立ったまま。
「別に、今すぐ取って食う訳じゃないから」
その言葉に、素直に反応してしまう。
案の定、彼に笑われた。
イヤ、いくらなんでもイイ大人なんだから、すぐに取って食われるとは思っていない。
だけど、彼の家に連れて来られたら、そう考えてしまうのが自然なことじゃないか。
ここに来るまでの間、そんな話しは一切なかった。
会社を出てから食事に連れられ、お酒も飲んだ。
そのあと、少しだけブラブラ歩いた。