CURRENT
「そ、そうかもだけど……」
なぜか、私を試すような言い方をする。
一体、何が言いたいのだろう。
だいたい、手を繋がれていたのだから逃げ出すことだって不可能だったと思う。
「手を繋いでいたとはいえ、そんなに強くは握っていないよ。放そうと思えば放せたよ」
口調は優しいけど、突き放しているようにも思える。
好きだと言った割りには、どうしてそんなことを言うのだろう。
まさか、もうすでに飽きてしまったのだろうか。
つい最近、そう言われたような気がするのに。
「それで、何で泣きそうな顔してるかな」
離れたとこに座っていたはずなのに、いつの間にか隣に来ている。
そして、優しく頬に触れる。
私は、その手を払い除けることは出来なかった。
だって、なぜか溢れ出そうな涙をこらえるのに必死だったから。