CURRENT



彼の言っていることが分からなさすぎて、ゆっくりと彼から離れる。

彼はなぜか、困った表情をしている。



「やっぱり突き放してるよ。帰れってことでしょ?
あんなこと言ってたけど、結局飽きたんでしょ。そうだよね、あんなにいっぱい女がいるもんね。私なんかいらないよねっ」



自分で何でここまで言っているのか分からない。

だけど、口は止まらない。

涙も止まらない。

彼の言った通りだ。

私は一体、何がしたいのだろう。



「……帰る」



これ以上、ここにいても彼に怒ってばかりだと思った。

八つ当たりとでも言うのか。

何に対してかは分からないけど、確かにそんな感じ。

彼も疲れるだけだからと思って、立ち上がった。

だけどその瞬間、勢いよく腕を引っ張られて倒れ込んだ。

倒れ込んだ割りには痛くない。




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