CURRENT
「大丈夫だよ。私は、ここにいるから」
体ごと振り返り、彼と対面する。
そして、そっと胸の方に触れる。
「私は、どこにも逃げないから。そう決めたから、ここにいるの」
そう言うと、彼はなぜか困った顔をする。
私は何か、変なことを言ったのだろうか。
「梨沙が素直になると、破壊力抜群だな」
「……は?」
素直になってはダメだったのか。
それに、破壊力って何?
何も壊してないけど。
「梨沙、今日の予定は?」
少し考えてから、彼がそう言う。
今日は土曜日。
仕事は休みで、元々予定はない。
「何もないけど?」