CURRENT



にっこり笑った彼に、私は顔を引きつらせた。


初めてへの労りはないのかっ、とか昨日の今日で少しは考えてよっ、とか言いたいことはたくさんある。

だけど、それを彼は許さない。

全て分かってやっているのだ。

続ければ、私が溺れていってしまうことさえも……。








月曜日、いつもと変わらない週始めのはずなのに、社内はざわついている。



「あ、あの、矢島さん」


「なんですか?」


「あ…………これ、確認お願いします」


「分かりました」



何人もの人が、こうやって聞こうとしては諦めている。



「な、中山課長、すいません」


「んー?」




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