CURRENT
*二つの影の距離
【1】
週明けの月曜日。
いつもなら、また1週間が始まるということでみんな浮かない顔をしているはずなのに、今日に限っては若い子たちの黄色い悲鳴が聞こえる。
朝から頭を抱えたくなる。
ここは、中学か何かだろうか。
その理由が分かっている私は、悲鳴がする輪には加わらず、静かに自分のデスクへ行く。
そして、誰に何を言われるでもなく、仕事を始める。
「これは、どうしたらいいものだろうね」
そんな声がして横を見ると、部長が立っていた。
若い子たちの輪を見ながら、苦笑いしている。
「正直、ここまでとは思わなかったなぁ」
困っているような感じにも見えるけど、呑気な言い方だ。
「ここにあの人は、まずかったんじゃないですか?
ここは、特に若い子たちが多いから」
「でもなぁ、中山くん以外いなかったしな。
二つ返事で来てくれたし」