CURRENT
私が言うことに、またしても苦笑いで返された。
「優秀なのはいいですけど、アレでは仕事になりません」
始業時間をとっくに過ぎたのに、女の子たちは群がったまま。
これでは、仕事を増やしに来たようなものだ。
「大丈夫だよ。そろそろ動くから」
「は?」
部長の言葉の意味が分からず、部長の方を見上げた。
そのとたん、パァンと音がした。
「ここにいる方たちは、今日の仕事はないのでしょうか?」
そんな低い声が聞こえた。
そちらを見ると、にっこり笑っている彼が目に入る。
「僕がここに来た以上、仕事が出来ない人は必要ありません。
今この状況でも、評価されていることに気づいて下さいね」
笑ってはいるけど、声は冷たい。
この前も、10年前も聞いたことのないような声。