CURRENT
「そうなんだけどね、外から来た人の方が変えやすいでしょう。
何より、あの外見だから従わせやすいでしょう」
平然とそんなことを言う。
何だ、結局は部長も彼を利用しているんだ。
「で、矢島さんは輪に入らず、興味がないふり?」
男性社員が私に近づいてきて、そんなことを言う。
「……何が言いたいの?島村くん」
「だってねぇ、仕事が出来て自分より稼ぎが上だろう?
だったら、味見はするんじゃねぇの?
何より、イケメンだしな」
噂通りに受け取るなよ。
だいたい、発端はアンタのせいだ。
とりあえずイケメンだろうが、すぐに好きになる訳もない。
それに、彼のことは絶対に好きにならない。
「でもまぁ、寂しいのならまたオレが相手してやるよ」
私の耳元でそう言ったあと、微かにリップ音を残して去っていった。