CURRENT
もう、あの笑顔すら胡散臭く感じる。
そんな会話が嫌でも耳に入ってくると、隣からは笑い声が聞こえる。
「菜月……笑いすぎだから」
この会話が聞こえ始めてから、菜月はずっと笑っている。
「だって、おかしくありません?
朝、仕事出来ない人は必要ないって言われたのに、未だにモーションかけてるとか」
「あの子ら、耳に入ってないんじゃない?
それとも、手に入れば仕事なんてどうとでもなると思っているとか」
「イヤ、そんな頭の中じゃ、課長を手に入れるなんて無理ですよ。
課長は、本性をこれぽっちも出していないのに」
笑いながらも的確なことを言っていて、ドキッとする。
「ほ、本性出していないって、どうして分かるの?」
「あの目ですよ。
話している時は一応笑っていますが、彼女たちが一方的に話している時は、目が笑っていません」