CURRENT
【2】
イケメン課長が来たからというもの、部署内がうるさくなった。
朝からざわつき、仕事中は何かと課長に質問。
他の社員でも答えられることを、忙しいはずの課長に聞いている。
彼も彼で、表向きは優しく答えているけど。
休憩時間になれば、課長席に女の子たちが群がる。
いつになったら、静かになるんだよ。
そう思っていても、私は黙ったまま、書類の山を片付ける。
下手に口出しはしない方がいい。
注意をすれば、また陰口の対象となるから。
まぁ、それでいいのだけど。
私は間違ったことをしている訳じゃないから。
それでも、これ以上の噂はごめんだ。
だから、彼と話すことはしない。
彼がどう出てくるのかも分からないから。
だけど、同じ部署の課長という上司である。
一言も話さないなんて無理があった。
「梨沙先輩、これ二つ終わりました。
あとは、課長の承認のみです」